Granite採択学生インタビュー

Biological Science

Granite バイオサイエンス領域

器官発生工学研究室村田 大和さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-04-01

私が所属する器官発生工学研究室では、体のあらゆる細胞に分化できる多能性幹細胞から、臓器を作成する研究をしています。

臓器移植ではドナー不足によって患者が移植を受けられないことが問題となっています。そこで、臓器欠損モデルの受精卵に多能性幹細胞を注入することで、多能性幹細胞由来の臓器が作成できる『胚盤胞補完法』は、将来的に新たな移植臓器の供給源となり得ることが期待されています。現在までに、マウスとラットといった組み合わせで胚盤胞補完法は成功しており、我々の研究室では胸腺、肺、心臓を胚盤胞補完法で作成しました。しかし、臓器が作成出来たとしても、それが正常に機能するとは限りません。実際に胚盤胞補完法で作成した肺は機能していませんでした。そこで私は作成した肺が正常に機能するにはどうすればいいかという研究を行っています。この研究は、胚盤胞補完法で作製した肺が移植ドナーとして有効であるか、異種動物体内における発生環境の差を明らかに出来るのではないかと考えています。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

25-04-02

奈良先端大は学部を持たないので、修士で卒業する場合、研究室配属前や配属直後の基本的な知識や実験操作の習得、就活活動の期間を引くと、実際に研究ができるのは1年もないと思います。このような話を、入学前から指導教員と話していました。なので修士で卒業しても、知識も技術も大してレベルアップできないし、満足のいく研究ができないと思い、入学時点で博士課程進学はほぼ自分の中で決まっていました。指導教員や他の先生方も、今は企業での博士人材の需要も増えているから、就職も難しくはないと言われ、博士卒業後のキャリアの選択肢が少なくないことも進学することの背中を押してくれました。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

一番はやはり金銭面が大きいです。奨学金を借りなくても生活ができるのは、将来の返済のプレッシャーもありませんし、両親への経済的負担もなくせます。やはり、この歳でも親のすねをかじるのは申し訳ないので、、、。そして、バイトしなくても困りはしないので、土日にしっかりとリフレッシュできますし、実験のスケジュールも調整しやすいです。それ以外でいうと、Granite採択者は海外のラボステイに行かないといけないので、なかなか海外に行く勇気が出ない私なんかでも、半強制的に背中を押してもらい、海外を経験できる機会があるというのはとてもありがたいです。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

とりあえず就職してみて、社会人を経験してみたいのと、商業的な実験を経験してみたいです。もし合わなかったら、その時に考えようと思います。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-04-03

博士課程では、修士の時より高いレベルが要求されるので、壁にぶつかることも多くなりました。周りにも、博士進学をあきらめた友人が数人いたので簡単な選択ではないと思います。私生活だと、周りの友人たちも社会人になり、お金を稼いでるのを見ると少しうらやましいです。しかし、進学してからも、自分の力不足を痛感しているので、もし修士で就職しても、研究職で活躍できるレベルには達していなかっただろうと思うと、博士課程に進学して良かったと思っています。私が進学を決めた時は、あと3年学生期間が伸びるだけでしょ、研究楽しそう、くらいの感覚で決めました。なので、今、博士課程に進学するか悩んでいる方も、そんなに悩むこともないのかなと思ったりします。