あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

私の研究は、スマートフォンや車載機器が利用する「通信ネットワークの混雑」をどう解決するかに取り組んでいます。
特に、人が多く集まる都市部では、通信が遅くなったり不安定になったりすることがあります。そこで私は、「価格の工夫(ダイナミックプライシング)」と「人の行動をうまく後押しする仕組み(ナッジ)」を組み合わせ、利用者が自然に混雑を避けられるような仕組みを考えています。
たとえば、地図アプリで「このルートは少し混んでいるので別の道をおすすめします」と表示されるように、通信でも「今はこの場所が混雑しているので、少しタイミングをずらすと快適に使えます」と伝えるイメージです。これにより、利用者はより快適に通信でき、事業者側もコストを抑えられます。学術的にも新しい発想ですが、実際の社会でも都市の通信環境を快適にすることに直結する研究です。
なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

修士課程では通信ネットワークの効率化に挑戦し、電力削減などの成果を得ましたが、同時に「ネットワーク側の工夫だけでは限界がある」という課題を強く感じました。利用者の行動をうまく組み込むことでこそ、本質的な解決につながるのではないか、と考えるようになったのです。
さらに私自身、学部時代は経営学を専攻しており、博士課程から本格的に情報通信分野に飛び込みました。そのため、もっと知識を深め、異分野の視点を融合させた研究を形にしたいという思いもありました。博士課程に進むことは、学問的にも自分のキャリア的にも自然な選択だったと感じています。
Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.
Graniteの支援は、資金面だけでなく「トランスファブルスキル」にも重点を置いているのが特徴です。そのおかげで、国内外の学会や研究会に参加しやすくなり、発表の機会が増えただけでなく、最新の研究動向を追うことも容易になりました。
特に、私のように通信、交通、行動経済学といった異なる分野をまたぐ研究をしている立場にとって、この柔軟に使える支援は非常にありがたいです。単に研究費を補助するだけではなく、「研究者としての幅」を広げる体験につなげられる点が、Graniteの大きな魅力だと感じています。
将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.
幼い頃から、身の回りのことがもっと便利になったり、効率的に動く仕組みを考えるのが好きでした。今は通信分野を中心に研究していますが、将来はそこにとどまらず、社会全体の仕組みづくりに関わりたいと思っています。
例えば、通信だけでなく交通やエネルギー、行政サービスなど、より多くの利害関係者が関わる社会システムをどう効率化できるか、あるいは新しい仕組みをどう構築できるか。そうした「社会のインフラそのものをデザインする挑戦」に携わりたいというのが、私の胸に秘めた大きな目標です。
博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

博士課程は大変そうに思えるかもしれませんが、「自分が好きなことをとことん探求できる時間」でもあります。進学を考えている方には、研究テーマをただ「学術的に面白い」だけでなく、「社会にどう役立つか」という視点でも一度考えてみることをおすすめします。その視点があると、自分の研究に対するモチベーションがずっと高まりやすいです。
また、学会やワークショップに足を運んで、他分野の研究者や同世代の仲間と議論することは本当に刺激的です。研究だけでなく、人とのつながりや新しい考え方に出会えるのも博士課程の魅力の一つです。
もし進学を迷っているなら、「自分のやりたいことをもう少し深掘りしてみたい」という気持ちを大事にしてほしいです。挑戦してみることで得られる経験は、必ず将来の大きな力になると思います。

