Granite採択学生インタビュー

Information Science

Granite 情報科学領域

計算神経科学研究室榎原 学人さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-08-01

"光ポンピング磁力計(OPM-MEG)を用いたブレインマシンインターフェース(BMI)の開発"をテーマに研究を進めています。

従来の脳磁計測(SQUID-MEG)は大型で液体ヘリウム冷却が必要なため、設置場所やランニングコストに大きな制約がありました。OPM-MEGはセンサ自体が小型・常温動作可能で、従来のMEGのデメリットを克服した次世代型の脳磁場計です。私はこの特長を生かして、ヒトが「考える」だけで外部機器に指令を送れる非侵襲BMI技術の発展を目指しています。具体的には、言語イメージ(covert speech)など、外部行動として現れない脳活動パターンをOPM-MEGで捉え、機械学習により識別・デコーディングする研究を進めています。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

実は修士課程に進学した当初、博士課程進学はあまり考えていませんでした。しかし、幼少期から「脳と機械をつなぐ研究がしたい」という思いをずっと持ち続けており、就職して研究から離れてしまったら後悔すると感じるようになりました。そこで、一生に一度の機会と考えて、博士課程進学を決断しました。自分の興味と社会的インパクトの大きいテーマが重なる分野に本気で挑戦できる環境に身を置きたかった、というのが最大の理由です。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

25-08-03

研究費支援のおかげで、実験に必要な機器・消耗品をタイムリーに整えることができています。

たとえば写真で着用しているヘルメットは、研究費で導入した3Dプリンタを使って自作したOPM-MEG計測用ヘルメット試作品です。OPMセンサは頭皮上の任意位置に配置できるのが大きな利点ですが、被験者ごとに位置調整を行うにはハードウェア側の工夫が不可欠です。現在、この試作ヘルメットを改良しながら、計測精度と装着性の両立を図っています。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

ブレインマシンインターフェースは、身体運動が困難な方のコミュニケーション支援、リハビリテーション、ヒューマン・コンピュータインタラクションの拡張など、社会的意義の大きい技術です。私はOPM-MEGを核とした非侵襲・高時間分解能BMIの実現を通じて、「脳の信号をより身近に活用できる社会」を支える研究者/開発者になりたいと考えています。将来的には研究成果を医療・福祉・教育分野の実装につなげ、技術の普及と標準化にも貢献したいです。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-08-02

「やりたいこと」が明確にあるなら、ぜひ一度本気で向き合ってみてください。博士課程は長い道のりに見えますが、興味と情熱があれば学ぶほどに面白さが増していきます。完璧に道筋が見えていなくても、指導教員や仲間に相談しながら進む中で研究内容は磨かれていきます。一度きりの人生なので後悔の少ない選択をしてください。挑戦する仲間が増えることを願っています。