Granite採択学生インタビュー

Biological Science

Granite バイオサイエンス領域

遺伝子発現制御佐藤 絢香さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-23-01

ゼブラフィッシュをモデルにした器官再生に関する研究をしています。

その中でも哺乳類でいう「耳」をメインとした研究に取り組んでいます。

ゼブラフィッシュをはじめとした魚類は、水流を感知する「耳」のような機能がありますが、何かの理由で感知できない状態になったとしても、再生し、3日程度で機能が回復します。

一方で、人をはじめとする哺乳類は、万が一、機能が衰えた場合、再生が難しいです。

この研究が進むことで、例えば難聴の改善方法が確立できるなどの身体の様々な機能改善に貢献できる可能性があります。

具体的な研究内容はゼブラフィッシュに既存の薬剤をかけた際の反応データをまとめることを中心に取り組んでいます。

もともとは高校の生物の授業をきっかけに遺伝子やDNAに興味をもちました。

大学進学後は植物や動物までの幅広く研究室を見学し、自身が取り組みたい研究内容は何か?というのを模索している中で現在の研究テーマに近しい領域から研究をはじめました。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

25-23-02

修士の頃に行っていた研究の中で今の研究に繋がる新たな発見をしたことで、解明をしたいという気持ちが強くなったのがきっかけです。

一方で、全容を解明するにはあまりにも時間が足りないことが懸念でした。

その他にも、やりたいことや興味のあることが様々ある中で中途半端で終わることは嫌だと思ったこと、何か形として残せるように頑張りたいと博士課程への進学を決めました。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

大きく2つあります。

まずは生活費や学費の援助があることです。

私には幼い兄弟がいるので、研究を続けたくても家族に負担はかけられないという状況もある中で金銭面の支援というのは非常にありがたいです。

この支援があるからこそ、研究に集中できる環境があると思います。

2つ目に国内外問わずトランスレーショナルスキルを伸ばす、セミナーイベントや交流会参加時に補助をいただきながら参加できる事です。来週、名古屋で参加予定があるのですが非常に楽しみなんです。

研究室にいると同じ分野の気心知れた仲間と関われる時間が多い一方で、自身のキャリアを考えたときには交流を通じて広い視野を持つことが、今後の自身のキャリアにとってもいい影響をもたらすことができると考えています。

ただ、自身でそういった交流をしようと思っても、何からするべきかなどは時間的制約もある中でできないことも多く、企業と博士課程学生の交流会や若手の博士交流会に交通費や宿泊費の援助を受けながら挑戦できるのは非常にありがたいです。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

一番の目標は、やはり自身の論文をジャーナルに掲載することです。研究で得られた成果をまずはしっかりと「形にしたい」と考えています。世界で認められることは、次のステップに進むための重要な通過点だと考えています。

その先としては、科学やサイエンスに詳しくない人にも利益になるようなものを作りたいです。自分の経験を基にして、人々の役に立つような製品開発につなげていきたいですね。

特に医薬品は、食品や化粧品に比べても社会的なインパクトが非常に大きいと考えています。例えば「治らなかった病気が治る」というような、これまでの常識では不可能だったことを可能にするような製品を、自分の手で生み出し、社会の価値観を変えたいという大きな野望を持っています。

もちろん最初から実現できるとは思っていませんが、例えば、治らない病気に対する研究が日々進んでいることを知るだけでも、患者さんやそのご家族にとって大きな希望につながると思うんです。「やっているよ!」というメッセージを伝えるだけで、希望を生み出せる。それが、研究者として、そして医薬品開発に携わる者としての大きなやりがいだと感じていますし、そういった目標を考えている最中です。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-23-03

高校の生物の授業がきっかけでこの道に進みましたが、もっと遡れば、小学生の頃に芽生えた興味が大きなポイントだったように思います。

だからこそ、皆さんにも、今できないことでも「やってみたい」という気持ちを大切に、自分が「楽しい」と思えることをとことん突き詰めてほしいです。

研究や大きな発見は、決して一人では完結できません。たとえ自分の人生でやり遂げられなくても、後に続く人たちがその想いを受け継いでくれることで、初めて見つかる真実もあるはずです。だから、もしこの研究に少しでも興味を持ってもらえたら、ぜひ後輩の皆さんにもお力をお借りしたいと思っています。

「研究は大変そう」というイメージがあるかもしれませんが、今は昔よりずっと研究しやすい環境になっています。博士課程修了後の選択肢も広がり、多様なキャリアを築くことも可能です。ぜひ皆さんの情熱を、次の世代へと繋いでいくために生かしてほしいです。