Granite採択学生インタビュー

Granite-AI

Granite-AI

自然言語処理学研究室林 和樹さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-46-01

私は「視覚と言語を統合し、背景知識に基づいた説明ができるAI」の研究をしています。 現在のAIは、画像を認識して言葉で説明することはできますが、「画像の背景にある知識」を十分に結びつけて説明することは苦手です。

たとえば、美術館で絵画の写真を見せたときに、その画家や作品の歴史的背景を自然に説明することは、まだ難しいのが現状です。

この課題は、AIが持つ「視覚の理解」と「言語の知識」が十分に統合されていないことに起因します。私はこのようなマルチモーダル(視覚と言語の統合)の課題をより実世界で応用できる形で解決するため、画像から自然で一貫性のある説明を生成できるAIの基盤を構築することを目指し、日々研究を進めています。

この研究が進めば、美術館での案内や教育現場、さらには日常生活でも、画像を見せるだけで関連する知識を自然に提供できるAIが実現します。視覚と言語を統合したAIが、私たちの学びや生活を支える存在になる未来を見据えて研究を続けています。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

25-46-02

学部時代にAI分野の急速な発展を目の当たりにし、専門性をさらに深める必要性を強く感じたことから、博士後期課程での研究を志しました。

進学を本格的に決意したのは博士前期課程1年目を終える頃であり、博士後期課程ならではの自由度の高い環境で、自分の関心を存分に探究できる点に大きな魅力を感じました。

企業での研究職も検討しましたが、組織のニーズに直結する成果を求められる環境では、自由な探究を続けることが難しいと感じました。そのため、制約のない環境で研究を続けるためにアカデミアでの道を選びました。

博士後期課程の自由度の高さとは、自ら課題を設定し、重要性の高い基礎研究に腰を据えて取り組める環境を意味します。現在は、志望していたNAISTの研究室で、自らの関心を深めながら挑戦的で充実した日々を過ごしています。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

GraniteAIは、研究室の先輩からの勧めで応募しました。 採択されて以降、研究費の補助によって実験や解析の幅が広がり、研究の質が向上していると実感しています。 また、国際学会に参加する際には渡航費や滞在費の補助を受けられるため、安心して研究に集中できています。

さらに、このプログラムは高いモチベーションを維持できる環境でもあります。GraniteAIでは、自分のやりたい研究を進めるだけでなく、その成果を社会に還元するイノベーションを創出することが求められます。そのため、日々「何を生み出せるか」を意識しながら研究に取り組むようになり、研究への責任感が一層強まりました。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

現在取り組んでいる研究が、社会との接点を着実に広げつつあることを実感しています。 将来的には、研究で培った知見を実社会に応用し、社会の利便性や発展に貢献するプロダクトの創出を目指しています。

近年、研究の在り方が大きく変わってきていると感じています。現代社会には数え切れないほどの課題が存在しており、その解決には研究者自身が実社会に踏み込み、研究開発を進めていく姿勢が求められます。 私自身も、自らの知見や経験を最大限に活かし、社会に価値を還元できる研究やプロダクト開発に取り組んでいきたいと考えています。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-46-03

「研究が好きであれば、迷わず飛び込んでみてください。」 修士課程の頃、先輩からかけてもらったこの言葉が、今では本当にその通りだと実感しています。

もちろん、「研究が好きである」という前提は必要ですが、一歩を踏み出せば必ず道は拓けます。人生は一度きり。挑戦したいと思ったことには、迷わず取り組むべきだと考えています。

AIが急速に発展するこれからの社会では、人に求められるスキルや専門性がこれまで以上に高度化していくでしょう。それは、そう遠くない将来に訪れる現実です。 そのような状況を踏まえると、博士後期課程で学び、専門分野という強固な基盤を築いた上で社会に出ることは、大きな優位性につながると思います。

確かに、社会に出る時期は数年遅れます。しかし、将来を長期的に見据えたとき、自分自身への投資として、その「リターン」は非常に大きいはずです。