Granite採択学生インタビュー

Information Science

Granite 情報科学領域

サイバネティクス・リアリティ工学研究室木村 江梨花さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-54-02

私の研究テーマでは、水中でのVR使用によって「人間拡張」を試みています。人間拡張とは、人間の身体能力・知覚などを拡張させる技術のことです。私は任意方向への自由な移動が可能な水中環境下の浮力で,垂直移動の能力を拡張できないかと考えています。

私の分野である、バーチャルリアリティ(VR)の技術は、通常の人間には不可能な範囲の体験をすることができます。例えばその技術では、スーパーヒーローや鳥になって空を飛んだり、宇宙環境をシミュレーションしたりすることができます。

このように、VR空間内で自由自在に動き回る体験ができる一方で、人間は垂直方向の移動に限界があり、自由自在に移動することができず、体験に伴う身体感覚が得られません。実際に、自分がジャンプしたときに鳥のように飛べる人はいないはずです。

これまで再現が困難だった空中移動やバク転など超人的な身体運動を含むVR体験を実現することが、私の研究の最終目標です。その目標達成のために、水中に着目して研究を進めています。将来的には、訓練やエンターティメントに活かせると思っています。

水中の研究はこれまで誰も研究してこなかったフィールドです。VRゴーグルを一から作成したり、安全面を考慮した実験設計を試行錯誤しながら考えたりと、苦労はありますが、夢ある分野で楽しく研究しています。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

25-54-01

私はとにかく海外が好きです。いろんな国に行き、文化を学んで様々な体験をしたいと思っています。博士進学することで、海外と繋がれる機会が増えるだけでなく、学会など海外に行く機会も増えるのでは…?と考えたこともきっかけの一つでした。

また、海外では博士号を持っていることは珍しくありません。なんなら博士号を持っていると受け入れてもらいやすくなります。そして、英語力は高くなくても、研究力があれば海外でも通用するものです。とにかくこれからの人生の中で、いろんな意味で海外と繋がるためには、博士後期課程に進むことがベストだと感じました。

実は、NAIST受験時に博士後期課程に進む意思は決まっていました。海外と繋がりたいと考えている私は、博士後期課程への進学にあたって、全く迷いはありませんでした。

しかし、当初両親は私の大学院進学を快く思っていませんでした。そのため私自身も進学をためらっていました。というのも、学部時代に一度就活をして企業から内定をもらっていたにもかかわらず、それを辞退して大学院進学の道を選択しようとしていたからです。

内定企業は大手企業でしたが、業務上で海外に行く機会が少ない点が、私には納得できなかったのです。両親には、NAISTで博士後期課程まで取得し将来的には海外で活躍したい旨や、研究への熱意を伝え、納得してもらいました。その結果、大学院進学を選択し、NAISTを受験しました。今では、両親は研究を応援してくれていて、私自身も楽しんで研究ができています。NAIST受験の選択に、間違いはなかったなと思っています。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

やはり金銭面では、かなり助けられています。

Graniteの金銭面の支援では、生活費の他、研究に使うための費用、海外交流のための費用の援助が受けられます。特に、海外交流をしたい私にとっては、海外交流のための費用の援助に助けられています。

これまでは海外に行くとなると、ポケットマネーを出していましたが、研究を通して海外に出向く機会、研究留学や国際学会は支援が受けられます。その結果、自己負担なく、海外交流できるようになり、活動の幅も広がりました。

Graniteのおかげで、研究をするにも学会準備をするにも柔軟に過ごせるようになり、生活が充実しています。何より、心の満足感が大きいと感じています。

ただ、Graniteに採択された後、1つだけ面倒なことがありました。

支援金が個人の雑所得として計上されるため、親の扶養から外れる必要があります。そのため、自身の国民健康保険への加入など、短期間に手続きすべきことが発生しました。

それが結構手間がかかるので、これからGraniteに応募する人は覚悟(笑)しておいてください!

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

できればアカデミアに残って研究を続けながら、海外と繋がっていたいと思っています。しかしそう願っていても、簡単に残れるものではないこともわかっています。

もしもアカデミアに残れないならば、海外の企業に研究職として就職するつもりです。海外は博士号を持っている方が多いので、博士が優遇されます。せっかく進んだ博士への道なので、十分に活かしていきたいです。

私自身は海外で生活したい、様々な国に住んでみたいと思っているため、研究職だと様々な国に飛べるのが魅力だと感じています。

研究職では、生活の場所を安定させられないことがデメリットだと言われていますが、私はそれをメリットだと思っています。一度きりの人生、広い世界を見るべきだと思っているので、自分にとっては願ってもない環境なのです!

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-54-03

一言で伝えると「迷わず進むこと」に限ります!

迷ったら、とにかく前だけを見て進むことが重要です。

目標や自分の意思があれば、なんとかなるものです。

NAISTにいる限りは、教授や指導教員のサポートがあるので心配する必要はないと思っています。

博士後期課程の毎日は辛いものではなく、楽しみながら過ごせる期間だということを知っておいてください!