Granite採択学生インタビュー

Information Science

Granite 情報科学領域

サイバーレジリエンス構成学研究室荒木 亮介さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-69-01

この研究は、インターネットサービスをダウンさせる目的で行われるDDoS攻撃を、いかに効率よく、賢く防ぐかに焦点を当てています。特に、AIの進化によって攻撃がより強力で複雑になっているため、限られた防御リソース(予算や設備)を最大限に活用できる新しい戦略が必要です。

私の独自のアプローチは、トラフィックの量を予測するのではなく、防御の「優先順位付け」にあります。過去の攻撃データなどの時系列データを分析し、防御リソースを将来的に最も危険になる可能性が高いサービスやネットワークに集中させるための優先順位を自動で設定します。

これにより、企業は少ないリソースで同規模の攻撃を防げるようになり、AI時代に合わせた柔軟で効果的な防御が可能になります。

もともと学部時代は画像処理を専攻していましたが、インターネットが社会へ貢献する点に感銘を受け、このセキュリティ分野に飛び込みました。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

25-69-02

私の場合、動機はそれほど大げさなものではなく、義務教育を終えて高校に進むくらいの自然な感覚に近いものでした。

特に、進学を決める前の留学経験が大きなきっかけです。留学先の研究室では、私以外は全員がPh.D.(博士)課程の学生でした。彼らに囲まれて過ごす中で、彼らの発表している姿や高いコミュニケーション能力に強く感化され、自分も彼らのようになりたいと進学を決意しました。

なかでも、博士論文の最終審査会(ディフェンス)が印象的でした。長時間にわたり、専門的な内容を発表し、質問に対して論理的に受け答えする彼らの姿を見て、この研究の世界は本当にかっこいいと感じました。

また、博士号を持つ教員から、日本語の論理的な文章作成能力について刺激を受けたことも理由の一つです。博士課程での研究を通じて、専門性だけでなく、論理的思考能力、コミュニケーション能力、そして文章に起こす力といった、高度なスキルに強く惹かれ、今も日々刺激を受け続けています。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

Graniteの支援は、私の研究活動に多大な知的な糧と新たな経験をもたらしてくれています。

特に研究支援金のおかげで、以前は購入をためらっていた専門書籍や資料を十分に揃え、深く読み込むことができるようになりました。これは、研究を進める上で知的好奇心を刺激し、背中を押してくれるような効果があります。

また、「グローバル・ビジョナリー・ブリッジ」の支援も非常に助かっています。海外で行われるトランスファブルスキルを向上させるイベントに参加できる機会を提供してくれます。行きたいイベントを探している時間自体が既に楽しく、「この機会に、世界に出て学びを得られるんだ」と思うと、非常にワクワクしますし、実際に行けば多くの学びが得られるため、研究者としての成長に繋がっています。国内バージョンもサポートしていただいており、国内外問わず「きっかけ」となる機会を創出できることをありがたく感じています。

これらの支援によって、学会や研究会など近場のイベントにもフットワーク軽く参加できるようになり、様々なコミュニケーションや情報収集の機会が増えています。この支援を元手に、多くのきっかけを掴み、研究を深めていきたいと考えています。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

私は、事前に綿密な目標を立ててそれを叶えようとするよりも、目の前の課題を一つずつ解決していくことを重視する生き方が好きです。

今、目の前の問題を解決する手段の一つとして研究があります。研究を続けていくうちにまた新たな問題が見つかる、というその作業そのものに、生きていく意味があると思っています。つまり、目先の幸せとして、課題を見つけ、解決し続けることが私の目標であり、野望なのかもしれません。

また、胸に秘めた野望として、学部時代に触れた聴覚・視覚に障害を持つ方々の社会参加に関する課題があります。

現状、彼らは社会との関わりが薄く、その能力が十分に活かされていません。私は、彼らの持つ突出した能力(例えば、スティービー・ワンダーのように)や、健聴者や健視者にはない才能を活かせる「経済的自立を可能にするシステム」を構築し、彼らを市場に取り込みたいと考えています。内職のような行政サービスに留まらず、彼らの能力をきちんと評価し、いかすことで、社会の一員としてその価値に見合う正当な報酬を得る場を提供していきたいと考えています。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-69-03

まず、博士後期課程を神聖なものと思わず、中学から高校に進むくらいの感覚で捉えていいのではないでしょうか。その方が気持ちが楽になると思います。

教員からの話と自分の肌感ですが、成功の秘訣は、興味があると思い続けられるもしくは、自分を思い込ませ続けられる、ことだと思います。研究には辛い時期もありますが、苦しさと楽しさは表裏一体です。苦しさも興味を持ち続けていけば、いずれ楽しさに変わると信じています。

もし進学を迷っているなら色々なドクターの方と実際に会って話を聞いたり、一緒にプロジェクトをやってみたりすることをおすすめします。彼らの持つオーラを感じるなど、交流を通じて何かを感じ取ることが、進学の決断につながるだろうと考えています。