あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

ソフトウェアを開発する際には、開発者が「プログラムをどのように読むか」が極めて重要です。私は、プログラムを読むときの開発者の「視線の動き」をAIで分析し、プログラム理解の過程を明らかにする研究に取り組んでいます.従来は、研究者が手作業で視線の動きとプログラムの内容を対応付けて分析する方法が主流でしたが、非常に手間がかかるうえ、ある程度の専門知識も必要でした。
そこで私は、視線の動きをAIが自動的に処理し、プログラムの意味と関連付けて数値化(分散表現への変換)する仕組みの構築を目指しています。この仕組みによって、たとえば「if文の中の変数から、スコープ外の変数へと視線が移動する」といった意味のある視線の流れも、AIによって一括して分析できるようになります。開発者がどのようにプログラムを理解しているかの分析が進むため、プログラミング教育の支援や理解度の自動分析などへの応用が期待されます。
なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

研究がとても楽しかったことが、博士課程へ進学した一番の理由です.視線分析はまだ一般的とはいえない分野ですが、この技術を用いると、開発者がプログラムのどこに注目しているのかという情報を直接観測できます。ソースコードの編集パターンなどを間接的に分析する方法と比べて、「どこを見ているのか」をそのまま捉えられる点が、特におもしろいと感じています。このような視点からの分析に興味を持ち、高専に在籍していた頃から継続して研究を進めてきました。現在も、日々の研究が飽きることなく楽しく、もっと深く追究したいという思いが強まったため、博士課程に進学する決心をしました。将来的には、この研究を通じて、ソフトウェア開発に役立つ知見を抽出し、社会に還元したいと考えています。
Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.
支援開始が10月からということもあり、現時点では主にワークショップの参加費として利用する予定で、研究活動の幅を広げるうえでとても助かっています。また、Graniteのインターンシップに参加することで、キャリア形成や社会経験につながると思います。Graniteの支援が、挑戦のハードルを下げてくれていると感じています。
将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.
私の研究分野は、プログラム理解における視線分析です。現在は、視線データの多くが人手で分析されており、時間がかかる点に課題があると感じています。そこで、AIを用いて視線データを自動的かつ高精度に分析できる仕組みを確立することを目標に研究を進めています。将来的には、このような手法を一般的なものにし、視線データに基づくプログラム理解研究の分野にブレイクスルーをもたらしたいと考えています。ゆくゆくは、開発現場や教育現場でも当たり前に使われる分析基盤として、ソフトウェア開発を支える存在にしていきたいです。
博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

博士課程は長期戦になるため、研究そのものを楽しめないと、どうしても継続が難しくなると感じています。自分はどんなテーマや環境だとモチベーションが高まるのかを、日頃から意識して振り返ってみるとよいと思います。
あわせて、体調管理もとても重要です。私は修士課程のとき、親元を離れて寮生活を始めたことで、研究に没頭するあまり睡眠や食事がおろそかになり、体調を崩しがちでした。一度体調を崩してしまうと研究どころではなくなってしまうので、睡眠や食事、適度な運動など、健康面にはぜひ注意を払ってください。

