Granite採択学生インタビュー

Information Science

Granite 情報科学領域

ディペンダブルシステム学研究室金谷 温貴さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-73-01

私は、分散アルゴリズムのモデルの一つである個体群プロトコルモデルについて研究しています。分散アルゴリズムは、膨大な数のコンピュータが協調して一つのタスクを遂行するための仕組みです。個体群プロトコルモデルでは、低性能なモバイルセンサーノードから構成されるネットワークにおいて、リーダー選出や多数決、ノードのグループ分割など、さまざまな問題を解くアルゴリズムを設計します。モバイルセンサーは低性能であるため、頻繁に故障する可能性があります。そのため、いくつかのノードが故障してもシステム全体として正しく動作する状態へ自律的に回復する、自己安定性を備えたアルゴリズムを検討する必要があります。

しかし、このモデルでは、多くの問題において自己安定性を備えたアルゴリズムが存在しないことが知られています。この不可能性に対処するため、どのようにモデルの制約を緩和すれば問題を解けるようになるのかが研究されており、私もこの点について取り組んでいます。 近年、世界中に多数のコンピュータが存在していますが、それらが故障することで深刻なシステムトラブルが発生することがあります。集中管理型のシステムでは、一部のコンピュータが停止するだけでシステム全体が機能不全に陥る可能性があります。これに対し、自己安定性を備えた分散システムは、局所的な故障が生じても各要素が自律的に正しい状態へ回復し、システム全体の継続的な動作を保つ点に特徴があります。この性質は、センサーネットワークや大規模分散システムのように、各構成要素が低性能で故障率の高い環境において、特に重要となります。そのため、抽象度の高い個体群プロトコルモデルを用いて、故障に強い計算の限界と可能性を理論的に明らかにすることは重要であると考えています。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

25-73-02

私は、博士前期課程1年の冬に、入学時から取り組んでいた研究を国際会議で発表し、その経験を通じて進学を考え始めました。現在扱っているモデルには、さらに探究したい領域が多く残されており、その点が進学を決断した理由になりました。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

やはり経済的支援の存在が大きいです。 博士後期課程へ進学する決断ができたのも、この支援があったからです。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

アカデミアに残り、分野において国を問わず名前を知られる研究者になりたいと考えています。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-73-03

たくさん論文を読み、少なくとも博士課程の間は研究テーマに困らない程度に準備しておくことが大切だと思います。

博士後期課程の先について、私は明確には考えていません。上ではアカデミアに残るつもりと書きましたが、民間企業に進んでいるかもしれません。いずれにしても、これからの経験を積み重ねることが自身にとって大切であると考えています。