【報告レポート】『NAIST Granite / NAIST Granite-AI 学際的人材育成ワークショップ2024』を開催しました

奈良公園バスターミナル レクチャーホールにての画像
奈良公園バスターミナル レクチャーホールにて

 今年度から開始した「先端科学技術融合分野におけるイノベーティブ博士人材支援プロジェクト」(NAIST Granite Program)および「次世代AI分野におけるイノベーティブ博士人材支援プロジェクト」(NAIST Granite-AI)の一環として、「学際的人材育成ワークショップ」を11月5日(火曜日)に奈良公園バスターミナルのレクチャーホール及び情報広場にて開催しました。

 本ワークショップの趣旨は、学際的な場でのプレゼンテーションやディスカッションを通じてコミュニケーション力を向上させること、そして、業界専門家によるパネルディスカッションを通じて、現実の課題への接続や将来のキャリアパスについて考えを深めることであり、当日は本学学生64名、本学教職員15名、企業等からの一般参加者34名の参加がありました。

当日のプログラム

10:00-10:05 開会挨拶
10:10-11:40 Granite 学生によるショートプレゼンテーション
11:45-12:45 パネルトーク 「企業が求める博士人材とは」
12:45-13:45 休憩
13:55-15:00 Granite/Granite-AI 学生によるポスターセッション
15:10-15:50 Granite-AI 学生によるショートトーク
15:55-16:00 閉会挨拶

プログラム・発表学生の詳細はこちら

 学生はすべての領域から参加しており、専門学会とは異なる環境で異分野の研究を聞くことができました。また、対象学生(Granite/Granite-AI 学生)にとって、プレゼンテーションやポスターセッションにて異分野の聴衆を相手に自身の研究を説明する良い機会となりました。将来、産業界でリーダーシップを担うことを期待される者として、挑戦的で融合的なプロジェクトに取り組み、加えて、異分野の聴衆を相手に発表を行うことで、本ワークショップでの経験が有意義なものとなると期待します。

先端科学技術研究科長・廣田 俊先生より開会の挨拶
先端科学技術研究科長・廣田 俊先生より開会の挨拶

Granite 学生によるショートプレゼンテーション

各領域のGranite 学生が1分間で自身の研究内容を発表しました。

情報科学領域の学生によるショートプレゼンテーション
情報科学領域の学生によるショートプレゼンテーション
バイオサイエンス領域の学生によるショートプレゼンテーション
バイオサイエンス領域の学生によるショートプレゼンテーション
物質創成科学領域の学生によるショートプレゼンテーション
物質創成科学領域の学生によるショートプレゼンテーション

パネルトーク 「企業が求める博士人材とは」

パネルトークの様子
パネルトークの様子

 企業関係者による「企業が求める博士人材とは」をテーマとしたパネルトークを実施しました。パネリストは以下の3名です。
<パネリスト>
池谷彰彦 (日本電気株式会社生成AI技術開発統括部・統括部長)
納谷太 (日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所・所長)
浅岡凜 (株式会社アカリクヒューマンキャピタル事業本部事業推進部大学・学会連携担当)

 まず始めに、パネリストの皆様からの話題提供がありました。

日本電信電話株式会社(NTT R&D) 納谷様からの話題提供
日本電信電話株式会社(NTT R&D) 納谷様からの話題提供

 納谷様からはNTT R&Dの概要や成り立ちに加えて、博士学位取得者支援の仕組みや研究員の学生時代の専門分野が多様であることの紹介がありました。

株式会社アカリク 浅岡様からの話題提供
株式会社アカリク 浅岡様からの話題提供

 浅岡様からは自社での博士キャリア支援の取り組みと、独自調査による博士課程学生の就職活動や人事担当者の視点についての解説が提供されました。

日本電気株式会社 池谷様からの話題提供
日本電気株式会社 池谷様からの話題提供

 池谷様からは、生成AI技術開発統括部での取り組みや博士人材に求められてきたことについてのお話がありました。

 当日は会場からの質問にもご回答いただきました。以下にて一部をご紹介します。

会場参加者からの質問
会場参加者からの質問

(質問)研究活動があり、アカデミアの公募もあり、結局のところ、いつ就職活動すればいいのでしょうか。
(パネリストの回答)
・人によって適切な時期が異なる前提にはなるが、情報収集は早めにしておいて大事な締切を逃さないようにしておくのが重要です。民間企業の就職活動は分野にもよるが、いわゆる日系の多くの企業はD2の秋冬ごろに募集を始めます。ただし、夏季インターンシップから採用に繋がる企業も増えているので、そうすると応募先をD2の春頃から見定めていく必要があります。
・就職活動においては自身の研究紹介をすることになり、その時点においては研究のエビデンスが出かかっていることが望ましいです。その結果をいつから仕込むかは千差万別だが少なくともその程度は求められることを知って欲しいと思います。
・共同研究などで接点を持って、その延長線上で入社して仕事をしていくのが理想と考えます。それ以外だとインターンシップ。他にも他大学では大学と協力してハッカソンを開催することもあります。

(質問)採用視点から、学生の1分ショートプレゼンテーションに対してのフィードバックがあればいただきたいです。
(パネリストの回答)
・1分プレゼンがどういう要件なのか。何を見据えてこの場で成果をあげないといけないのかを意識して話す内容を考えてほしいと思います。
・まずは自分の研究に興味を持ってもらうこと。Why、なぜこれをやっているのかを話して、この研究は面白い、ポスターセッションで聞こうと思わせるのが大事です。
・この研究をなぜやっているのか、この研究が上手くいくと世の中がどう変わるのかを伝えるのがお勧めです。多くの学生はプレゼンの際、Howから入りがちなので注意しましょう。

(質問)いわゆる「カルチャーフィット」について、個人との相性を超えてそれを見極めるにはどうすればいいか。
(パネリストの回答)
・実際にこの人と研究したいと思ったが、入社したらその人はいないという事態を体験しました。そういう意味で、人で選ぶのは一定のリスクはあるが、それでも研究のDNAが引き継がれているので、それを理解することも必要です。
・自分のやりたいと思う研究ができる時点で、ある意味、文化がフィットすると言えます。そのためにはいろんな人とコミュニケーションを取ってみることが大切です。
・インターンシップはお勧めできます。職場でもインターン生が来ると出社率が上がりますし、メンターはもちろん他の社員も職場に来るので、メンター以外のチーム全体が見えることになります。必然的に他の人の考え方やグループの文化が見て取れるのが利点です。

Granite/Granite-AI 学生によるポスターセッション

 ポスターセッションでは、参加学生・教員・企業担当者の全員がポスターを掲示した学生に対して質問・議論を行いました。

ポスターセッションの様子1
ポスターセッションの様子1
ポスターセッションの様子2
ポスターセッションの様子2

Granite-AI 学生によるショートトーク

 Granite-AI の5名の採択学生がショートトークとして研究プレゼンテーションを行いました。

Granite-AI 学生によるショートトーク
Granite-AI 学生によるショートトーク

表彰式

 本日のポスターセッションで発表した学生に対し、参加者全員の投票により各領域(情報、バイオ、物質、AIの4カテゴリ)の優秀発表者を決定し、優秀者への表彰を行いました。

・Granite IS賞:古川 慧『言語学・音韻論のニューラル⾳声合成への応⽤研究』

Granite IS賞:古川 慧

・Granite BS賞:大塚 菜那『ケミカルバイオロジーを用いた植物の脱春化を誘導する化合物の構造とその作用機序』

Granite BS賞:大塚 菜那

・Granite MS賞:太田 ことり『ヒンジループ改変ヒトシトクロムcの2量体構築とその細胞内発現』

Granite MS賞:太田 ことり

・Granite AI賞:大武 一平『イベントカメラを用いた姿勢更新によるリアルタイム三次元姿勢推定の実現』

Granite AI賞:大武 一平
各領域の優秀賞受賞者
各領域の優秀賞受賞者

閉会挨拶

理事・副学長の加藤 博一先生からの挨拶で本会は閉会となりました。

理事・副学長の加藤 博一先生からの挨拶

(以上)