あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

私の研究では、深層学習を用いて医師による胸部X線画像診断の不確実性を定量化する手法を開発しています。
医師の診断にはばらつきが生じることがあるため、診断の確率的評価を可能にするモデルを構築し、83,005枚のX線画像を用いて検証を行いました。結果として、深層学習モデルの出力と医師の診断確率には高い相関(0.89〜0.97)が確認され、診断の客観的評価が可能であることを示すことができました。
この研究の意義は、診断の正確性だけでなく、不確実性を定量化する新たな手法を提案した点にあります。医師の診断基準を統一し、誤診リスクを低減することで医療の質向上に貢献できます。さらに、この手法は特別な学習を必要とせず、広く医療機関での活用が期待されます。今後は、さらなる病症への適用や、異なる医療機関での実証実験を通じて、診断支援の精度向上を目指すことを考えています。
なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

私が博士課程に進学した理由は、医療分野の課題解決に貢献するために、より高度な研究を行う必要があると考えたからです。学士・修士課程では、バイオインフォマティクスや深層学習を用いた医療画像診断の研究を行い、特に転移学習を活用した診断支援システムの開発に取り組みました。その過程で、医療データの解析精度向上に手応えを感じる一方、診断の不確実性やモデルの解釈性の課題を解決するには、さらなる研究が必要だと実感しました。
博士課程では、医師の診断の不確実性を定量化する研究や、PET画像解析の精度向上、尿路結石の発生リスク予測モデルの開発に取り組んでいます。これらの研究を通じて、医療現場で実際に活用される技術の実現を目指しています。最終的には、医療技術の発展に貢献し、人々の健康を支えることを目標にしています。
Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.
Graniteの支援により、研究を進める上で多くの助けをいただいています。特に、企業の方々から直接研究に対するフィードバックを頂ける機会があることで、より実践的で社会実装を意識した研究を進めることができています。専門的な視点や業界のニーズを踏まえた意見を取り入れることで、研究の方向性をより良いものにすることができ、大変有意義な機会となっています。
また、金銭的な支援により、研究に必要な潤沢な機器や資料を利用できる環境が整えられているため、実験やデータ収集をスムーズに行うことができています。このように、資金面の心配をせずに研究に専念できることは、大きなメリットであり、研究の質の向上にもつながっています。
将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.
私は、情報科学と医療の融合をテーマに研究し、深層学習を活用した医療診断支援技術の開発に取り組んできました。胸部X線やPET画像解析、診断のばらつきの定量化、尿路結石リスク予測などを通じ、診断精度向上と医療AIの発展を目指しています。 診断医の負担増大や診断精度のばらつきが課題となる中、実用的な診断支援AIの開発を推進し、X線診断の精度向上やPET画像解析の効率化に貢献したいと考えています。また、フィンランド留学経験を活かし、国際的な研究協力を強化し、語学力を高めながら国際学会での発表にも取り組みます。
医療AIの課題である解釈性や不確実性の定量化に対応するため、解釈可能なAIモデルの開発を進め、形態学と機械学習を融合した新たな診断技術を確立します。さらに、企業との共同研究経験を活かし、毛細血管解析やヘルスケア分野での技術応用を推進し、社会に貢献する技術を実装します。
また、次世代の研究者育成にも尽力し、情報科学と医療の融合分野の発展に寄与したいと考えています。診断支援システムの開発、国際研究の推進、解釈可能なAI技術の確立、産学連携の促進、人材育成を通じ、より良い医療の実現を目指します。今後も技術を学び挑戦し続け、社会に貢献する研究者として成長していきます。
博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

博士課程進学は、未知の課題に挑戦し、新たな価値を生み出す貴重な機会です。進学前には、研究テーマの明確化、環境のリサーチ、資金計画、論文執筆経験の積み重ね、プログラミング・データ分析スキルの強化、英語力向上を意識すると良いでしょう。
博士課程はゴールではなくスタートであり、アカデミアだけでなく企業や政策立案など多様なキャリアに活かせます。挑戦を恐れず、自らの興味を追求し、研究の道を切り拓いてください。応援しています!