Granite採択学生インタビュー

Biological Science

Granite バイオサイエンス領域

分子免疫制御研究室 博士課程1年村井 与心さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

研究テーマは「Ⅰ型インターフェロンの発現制御に関わる分子機構の解明」です。
Ⅰ型インターフェロンは自然免疫機構において抗ウイルス応答を担う重要な分子ですが、一方でその発現制御機構が破綻すると、自己免疫疾患につながるという負の一面もあります。

このためⅠ型インターフェロンについてはたくさんの研究がこれまでもなされてきたのですが、それはほんの一部の遺伝子についてであり、すべての遺伝子について、Ⅰ型インターフェロンの発現制御機構との関係を明らかにすることはできていません。

従来の研究方法では1遺伝子についてその遺伝子を欠損させた細胞でのウイルス刺激後のⅠ型インターフェロンの発現変動などを調べることで、制御機構との関係を明らかにしているのですが、数万個の遺伝子についてその作業を行うのは、膨大な時間と労力を要します。

そこで、全遺伝子について網羅的に解析を行う方法を確立することが私の研究目標です。
この研究が成功し、全遺伝子についてⅠ型インターフェロン発現との関係を調査することができれば、発現制御機構に関わる新規遺伝子の発見につながる可能性があります。また、Ⅰ型インターフェロン以外の自然免疫機構におけるサイトカインにこの技術を応用することも可能です。よって自然免疫機構の制御についての研究に大いに貢献できると考えています。

また、新規遺伝子の特定に至った後は、個体での解析も行い、Ⅰ型インターフェロンの発現異常による表現型の改善に着目した研究につなげていきたいので、Ⅰ型インターフェロンが関与している疾患の治療へも貢献できればと考えています。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

修士課程は別の大学で学んでいて、修士課程に進学した時点では博士課程に進もうと決めていたわけではありませんでした。

博士課程に進学を決めたのは修士課程2年の秋で、修士課程がもうすぐ終わり、修士論文を作製する段階で、自分のそれまでの研究結果を振り返るなかで物足りなさを感じ、もっと研究を行いたいと思ったのが決断に至った理由です。
所属していた研究室が教授の退官に伴い消滅してしまうという状況でもあり、修士課程と同じ自然免疫分野で研究できる研究室を探して奈良先端科学技術大学院大学に決めました。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

金銭面では、アルバイトをする必要がないため、研究時間の確保に大変役立っています。
他の点ではワークショップなどで研究紹介をする機会があるので発表の練習になっていると思います。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

博士課程からの3年間ですが、論文を出せるような成果を出したいです。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

難しそうだと思うかもしれませんが、興味のあることについて実験を行う日々なので、楽しいです。
もちろん楽ではないですが、もっと研究の経験値をあげたい方にとっては、博士後期課程進学はいい選択だと思います。