あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

植物は、低リン耐性に関わる遺伝子発現応答(PSR)を働かせてリン吸収を高めたり、リンを供給する微生物と共生関係を構築することでリン枯渇環境に適応しています。しかしながら、植物は常に様々な微生物に晒されており、どのように共生菌を受け入れつつ病原菌の感染拡大を抑えているのか不明な点が多いです。
私の研究では、PSRの主要な制御因子であるPHR1/PHL1がリン枯渇環境特異的に病原性糸状菌に対する抵抗性に寄与することを示しており、このPHR1/PHL1を介した免疫制御機構の解明を進めています。
これらの取り組みにより、植物が貧栄養環境において病原菌抵抗性と栄養獲得を両立するメカニズムに関する理解が深められると期待されます。
なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

幼少期から農場見学やそこで育っている品種改良段階の野菜・果物に触れる機会が多くあり、農作物の育種に関心が湧くようになりました。また、農場にて、「販売している種苗が感染病にかかり困っている!」ということを聞かされ、植物の病気についての知識を深め、将来的には、様々な病害に強い農作物を開発することで課題を解決し、農業を支える一員になりたいと考えるようになりました。
そのため、学部・修士課程では、植物病原菌の病原性や植物の免疫誘導機構について深く理解する事に努めてきましたが、将来、自身が研究者として、企業関係者や農業生産者の方と連携し、研究成果を社会に還元していくためには、博士後期課程に進み、研究計画力や議論する力、プレゼンテーション能力を養うことが欠かせないと考えたためです。
Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.
研究奨励費と研究費を支給していただいて、金銭的な負担を気にしなくてよくなったので、ストレスなく研究に打ち込むことが出来て助かっています。
また、キャリア支援プログラムも充実しており、企業が博士人材に求めている資質を知ることが出来る機会を提供して頂けるのは、自身のキャリアパスを考える上で、とても助けになっています。
将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.
植物病理学・免疫学を学ぶ次の世代の人たちが使用する教科書の中に、1行でもいいので自身の携わっている研究内容を載せられればいいなと思っています。
博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

博士後期課程への進学は、3年の長い年月と金銭的な負担のかかる大きな決断です。3年間の中で研究が思い通りにいかないことも多々あるので、進学に不安を感じる人も多いと思います。
進学を考える上でまず、「なぜ自分は博士課程に進みたいのか?」という問いに自分なりの答えを持ってください。研究に対する知的好奇心を満たしたい、研究者としてもっと成長したい、研究を通して社会的な課題解決に貢献したい――どんな理由であれ、自分の軸があることで、困難に直面したときでも前に進む原動力になります。
博士後期課程は決して孤独な戦いではありません。指導教員や共に切磋琢磨する仲間との議論を積極的に取り入れることで、自身の研究を円滑に進めることが出来ると思います。
また、博士後期課程で培われる研究計画力や議論する力、プレゼンテーション能力はアカデミックだけでなく民間企業への就職でも活かすことが可能です。自身の目指す将来像に向けて何が必要かをよく考え、それを達成するための一選択肢として、是非、博士後期課程進学を考えてみてください。