Granite採択学生インタビュー

Biological Science

Granite バイオサイエンス領域

植物免疫学研究室 博士課程1年永易 将弘さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

主要作物であるイネと、その生育を助ける共生細菌との共生関係の成立メカニズム、特に共生成立に関与する代謝物について研究を進めています。

イネは世界中の多くの地域で主食として消費されており、現在の急速な人口増加を考慮すると、より効率的に収量を増やす方法を模索する必要があります。一方で、現在広く用いられている化学肥料を多量に使用する農業は、環境への負荷が大きく、持続可能な方法とは言えません。こうした背景から、近年、環境負荷の少ない共生細菌を活用した農業が注目を集めています。しかし、共生細菌を利用した農業にはその効果の安定性が低いという課題があり、この技術の実用化に向けてさらなる研究が必要です。

私の研究では、共生成立のメカニズムを解明し、その中で特定された代謝物を共生補助剤として利用することで、共生細菌の効果を安定化させる可能性を探っています。この研究が進むことで、環境負荷を軽減しつつ高効率な農業を実現する道が開けると考えています。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

現在取り組んでいる研究には明確なゴールがないように思える部分もありますが、自分の手で一定の道筋をつけたいという思いが進学の大きな動機となりました。

また、一度きりの人生だからこそ、博士号という最高学位に挑戦することで、自分の可能性を広げてみたいとも考えました。さらに、私の研究テーマは省施肥農業の実現という、持続可能な未来にとって欠かせない課題に直結しています。この分野は誰かが解決しなければならない重要な問題であり、その一端を担いたいという思いも、博士課程進学を決意した理由の一つです。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

Graniteによる金銭面の補助や学費の支援は、博士課程の学生にとって非常に大きな助けとなっています。
博士課程の学生は、親からの支援を受けていない場合も多く、自立しながら研究に専念しなければならないことが一般的です。そのため、学費や研究費を心配せずに済む環境を提供していただけることは、精神的な安心感を与えてくれるだけでなく、研究に力を注ぐための基盤を整えていただいていると感じています。

この支援がなければ、経済的な不安を抱えながら学業との両立を図らなければならず、研究の質や進捗にも大きな影響があったと思います。支援がなければ、現在のように充実した研究活動を進めることは難しかったと思います。Graniteの支援に深く感謝しています。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

博士課程で得た経験をもとに、農業や農薬に関する研究を進め、持続可能な農業の発展に貢献したいと考えています。特に、農業生産を効率化する技術や新しい農薬の開発に取り組むことで、現場の課題を解決することを目指しています。

また、地域農業を支援し、農家の方々と連携して持続可能な農業を実現する活動にも関心があり、このような取り組みを通じて、NAISTで培った知識を社会に還元したいと考えています。

さらに、博士課程を通じて感じた博士進学やキャリア形成における課題を踏まえ、次世代の研究者を支援する活動にも興味を持っています。たとえば、大学生が博士進学や就職に向けて安心して挑戦できる環境を整え、自分自身の経験を活かしてサポートしていく道も魅力的ではないかと考えています。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

日本国内では、博士課程を修了して得られるメリットが少ないと言われることもあり、博士在学中には金銭面をはじめ、多くの不安が生じるかもしれません。そのため、まずは進学後のキャリアや、自分がその道を選ぶ理由をじっくり考えることをおすすめします。

ただ、自分が取り組んでいる研究に強い関心があり、そのテーマを追求したいという思いがあるのであれば、人生は一度きりです。その興味に従い、進んでみるのも一つの選択ではないでしょうか。自分にとって最善の選択を見つけられるよう、慎重に考えてみてください。