Granite採択学生インタビュー

Materials Science

Granite 物質創成科学領域

分子複合系科学研究室中尾 有紗さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-28-01

「KaiCのリン酸化率に応じたKaiA結合モードの変調」をテーマに、光合成細菌シアノバクテリアの概日時計の仕組みを研究しています。人間などの高等生物は、遺伝子の発現を制御して昼夜を刻みますが、シアノバクテリアはタンパク質そのものの状態や結合相手を変化させるだけで、地球の自転と同じ24時間周期を生み出します。私は特に、時計の中心タンパク質KaiCのリン酸化状態が、相互作用するKaiAとの結合様式をどのように変えるのかを解析し、安定したリズムをつくる分子基盤を明らかにしようとしています。すべての生命活動に通ずる概日時計がどのようにして緻密かつ正確に時を刻むのか、なぜそれが可能であるのかを知ることが目標です。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

25-28-02

高校時代から関心を持っていたタンパク質研究に本格的に取り組む機会を得て、修士課程での2年間では時間的にも内容的にも不十分だと感じました。就職活動や授業の合間に限られた期間で成果を出すだけではなく、腰を据えて研究を進め、失敗や試行錯誤を通じて研究の方法を学びたいと思ったからです。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

生活費の支援は、経済的な不安を解消し、研究以外の自己研鑽やリフレッシュに用いる余裕ができる点で大変助かっています。研究費の支援は、快適な研究環境を整えたり、新たな知識をインプットしたりと、自費ではハードルの高かった理想をかなえることができ、充実した研究生活につながっています。また、海外でのラボステイなどの研修も積極的に参加できる環境が整えられていることなども含め、学生が新たな環境や取り組みへのチャレンジをしやすい制度が整った支援であると感じています。

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

将来的には、科学と社会、特に科学と子どもたちをつなぐ役割を担いたいと考えています。学部では教育を学び、大学院では研究を通して「科学や研究とは何か」を自分なりに理解したいと思っています。この経験を土台に、最先端の研究現場で得られる新しい知見や発見の過程を、正確かつわかりやすく伝えることを目指しています。単に結果を伝えるのではなく、その背後にある思考や試行錯誤の価値を共有することで、未来の世代が科学の魅力を感じ、科学の発展に貢献していけるようにしたいです。

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-28-03

現実的なことを考えて不安になったり、周りを見て本当にこれでいいのかと迷うことは少なくないと思います。けれど、悩むということは自分の内から生まれた選択肢と、周りが一般的に選ぶ道との間で真剣に考えている証拠でもあるのではないでしょうか。私は、自分の中で生まれた選択肢を選んだ方が後悔しないと思い博士課程進学を選びました。いろんな人に相談して、一番悔いのない選択をできるようにじっくり考えてみてください。