Granite採択学生インタビュー

Materials Science

Granite 物質創成科学領域

光量子物性研究室植木 穂香さん

あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

25-36-01

私は「励起子ポラリトン」について研究しています。

励起子ポラリトンとは、半導体中の電子とホールがクーロン力で結合した励起子のエネルギー状態と、キャビティ光子のエネルギー状態が結合した状態のことです。これだけ聞くと、なんのことやら?と思う方がほとんどだと思います。

そして、だから何に役立つの?という疑問を持たれるはずです。

簡単にいうと励起子ポラリトンの状態では「半導体の性質と光の性質が混ざった状態」が見られます。これを利用することで、光の性質を利用した低エネルギーかつ超高速で稼働できるデバイスや、光の重ね合わせを利用した新たな量子デバイスの開発につながるとされています。

ですが、励起子ポラリトンは未解明な部分が多いため、応用に向けてその物性を調査する必要があります。

私は、励起子ポラリトンを利用した新しいデバイスの開発および社会実装に向けて研究を続けています。

なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

25-36-02

これまで4年間通っていた大学から、新たにNAISTに来ました。

新しい環境で研究ができるようになったのに、それを2年で終わらせるのはもったいないと思ったからです。

私自身は博士進学することに何の迷いもありませんでした。

むしろ、修士時代から近隣企業の方々と接する機会を持っていたのですが、その方々の中には博士卒の方が多くいらっしゃったことで、安心すら感じました。

実際のこの先のキャリアを考えると、アカデミアに残ることと民間就職で悩んでいます。

自分自身が好きな「研究」に、とことん没頭できる世界に残りたい気持ちも大きいです。

一方で、一般企業では、研究室で取り組めない壮大なプロジェクトに参加することも可能です。

どちらも一長一短で、今はまだ決め切ることができません。

ですが、就職とアカデミアの両方の選択肢を残せたことは、これからのキャリアを考えるうえで大きなアドバンテージになっていると思います。

Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.

日々の生活費など、経済的支援があることは非常に助かっています。

おかげでアルバイトを辞めることができ、研究に使える時間も増えました。

また、生活費の支援に限らず、年間40万円程度の研究費補助があることで、学会やシンポジウムに参加し、知恵を深めることにも役立っています。若手研究者が集まる研修会に参加し、同じ分野で研究している他大学の学生と意見交換をすることができました。

外部の人たちと交流する機会をたくさん持つことができる点も、Graniteの長所だと思います。

経済的支援以外では、NAIST内でもGraniteメンバーだけが参加できる企画があります。以前参加したイベントでは、NAIST内のほかの博士後期学生と知り合うことができ、研究生活での悩みなどを共有できる身近な友達を作ることができました。

つまり一言でまとめると「Graniteは研究に彩をもたらす」に限ります!

将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.

一般の方にも、励起子ポラリトンの魅力を知っていただきたいです。

励起子ポラリトンを利用して新たな量子デバイスを開発し、社会実装することで世の中に貢献したいと思っています。

光と量子力学の掛け合わせで、革新的なデバイスを作り出します!

博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

25-36-03

「博士後期課程では、セルフマネジメントが重要です!」

なぜかというと…特に博士後期課程では、学会やシンポジウムに参加することが増えます。研究成果だけではなく、これらの場でどれだけの方に聞いていただけるか、見ていただけるかも重要だと考えています。

たくさんの研究者が集まる場に積極的に出ていき、自分の研究に興味を持ってもらうことが、自分の知識を広げることにつながります。

研究活動だけではなく、自分自身を知ってもらえるように能動的に動くことで、研究の道が広がると考えています。

このように自分で自由に道を切り開けることも研究者の面白みだと思います。

Graniteプログラムは、そのすべてをサポートしてくれるものです。

私自身も、先輩がGraniteに参加している姿を見ていたので、何の迷いもなく飛び込みました。

これから博士後期課程を目指したり、進学を悩んだりしている後輩の方々にも、私のこのメッセージが決め手の一つになればなぁ…と思います。