あなたの研究テーマについて教えてください。What is your research theme?

私の研究テーマは、酸化物半導体と絶縁膜の境界(界面)に存在する「欠陥」の実態を明らかにし、次世代メモリデバイスに向けたナノスケールの界面制御技術を確立することです。
AIやIoTが普及する現代において、半導体メモリにはさらなる「高性能化」と「省電力化」が同時に求められています。その中で、酸化インジウムガリウム(IGO)をはじめとする酸化物半導体は、電子が動きやすく、使っていないときには電流が漏れにくいという優れた特長を持っています。低温で作りやすく、立体的に重ね合わせる(三次元積層する)次世代メモリの材料として今すごく注目されているんです。
ただ、メモリの高集積化に向けて酸化物半導体をさらに薄くすると、絶縁膜との界面に存在するわずかな欠陥が、デバイスの性能や安定性を大きく左右するようになります。
そこで私は、実際にデバイスを設計・作製し、電気的な特性を測るだけでなく、原子レベルで構造を直接観察するアプローチをとっています。「欠陥がどのように生まれ、性能にどのような影響を与えるのか」というメカニズムを解明し、その知見を作製プロセスにフィードバックすることで、より高性能で信頼性の高い次世代メモリを実現したいと考えています。
将来的には、この技術を通じてAIやビッグデータ社会を足元から支える、超省エネな情報社会の実現に貢献するのが夢です。
なぜ博士課程へ進学しましたか?Why did you decide to pursue a doctoral program?

修士課程に入った当初は、修了したらそのまま就職するつもりでいました。ですが、実際に研究に打ち込む中で、少しずつ博士課程という選択肢が頭をよぎるようになったんです。多くの仲間が就職していく中で、あえて博士という道に挑むこと自体が自分を大きく成長させ、将来の揺るぎない強みになるんじゃないかと考え始めました。
私の研究室には、デバイスの設計から作製、評価までをすべて自分自身の手で一貫して行える理想的な環境があります。また、高い専門性を持ち、自ら問いを立てて研究を切り拓いていく先生や先輩方の姿を間近で見るうちに、自分も高い専門性を身につけ、自ら考えて課題に取り組めるようになりたいと思いました。
将来、半導体業界で新しい技術の創出に携わるためには、単なる知識だけでなく「自分で課題を発見し、試行錯誤しながら解決まで導く力」が必要だと感じました。もちろん進学への迷いや不安はありましたが、「やらずに後悔するくらいなら、思い切り挑戦して成長したい」と腹をくくり、博士課程への進学を決断しました。
Graniteの支援で役立っている・助かっていることを教えてください。Please share what has been helpful or beneficial through the support provided by Granite.
Graniteプログラムから博士課程での研究活動を支援していただき、本当に感謝しています。特に経済的なサポートによって生活面の不安が和らぎ、研究に集中できる時間と環境が整ったことが、何より大きな助けになっています。
博士課程の研究では、長期的な視点を持って試行錯誤を重ねることが必要だと感じています。金銭的な安心感があるからこそ、目の前の課題にじっくり向き合えますし、新しい課題にも積極的に挑戦できていると感じています。自分の可能性を広げ、研究者として成長していく上で、欠かせない大きな支えです。
将来の目標、もしくはあなたが胸に秘めた野望があればぜひ教えてください。Please share your future goals or any ambitions you hold close to your heart.
将来は半導体関連企業で研究開発に携わり、自分が関わった技術を実際の製品として世の中に送り出すことが大きな目標です。自分の手掛けた成果が形になり、人々の生活や社会を支えていく未来を実現できたら、大きなやりがいを感じられると思います。
また、今日までの自分があるのは、家族や友人、そして手厚く指導してくださった先生や先輩方など、本当に多くの方々の支えがあったからこそです。将来は研究や仕事を通じて価値ある技術を社会に届けることで、これまで支えてくださった方々に恩返しをしていきたいです。
博士課程進学を考えている人へのメッセージをください。Please share a message for those considering pursuing a doctoral program.

進学を少しでも考えているなら、まずは先生や博士課程の先輩に話を聞き、実際の研究生活や経済支援、修了後のキャリアについて具体的に情報を集めてみることをおすすめします。リアルな体験談を聞くことで、自分が博士課程で過ごす未来をぐっと具体的にイメージできるようになるはずです。
私自身、最初は修士課程を修了して就職するつもりでしたが、次第に博士課程という選択肢が気になるようになりました。最終的には、『やらずに後悔するより、挑戦した上で後悔したい』と考え、進学を決めました。
博士課程が全員にとっての正解とは限りません。でも、少しでも「挑戦したい」という気持ちがあるなら、最初から選択肢を狭めずに納得いくまで向き合ってみてほしいです。さまざまな選択肢と向き合い、十分に考えた上で自分なりに導き出した結論であれば、その経験は、結果にかかわらず将来の大きな財産になると思います。

