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【報告レポート】『NAIST Granite / NAIST Granite-AI 学際的人材育成ワークショップ2025』を開催しました

令和6年度に開始した「先端科学技術融合分野におけるイノベーティブ博士人材支援プロジェクト」(NAIST Granite Program)および「次世代AI分野におけるイノベーティブ博士人材支援プロジェクト」(NAIST Granite-AI)の一環として、「学際的人材育成ワークショップ 2025」を10月31日(金)になら100年会館・大ホールにて開催しました。

本ワークショップの趣旨は、学際的な場でのプレゼンテーションやディスカッションを通じてコミュニケーション力を向上させること、そして、業界の専門家による講演を通じて、現実の課題への接続や将来のキャリアパスについて考えを深めることであり、当日は本学学生100名、本学教職員22名、企業等からの一般参加者19名の参加がありました。

当日のプログラム

10:30 - 10:35 開会挨拶
10:40 - 12:10  招待講演
12:10 - 13:10   休憩
13:15 - 15:15    Granite / Granite-AI 学生によるショートプレゼンテーション
15:25 - 16:55  Granite / Granite-AI 学生によるポスターセッション
16:55 - 17:00   閉会挨拶

学生はすべての領域から参加しており、自身のキャリア形成の参考となる講演や、専門学会とは異なる環境で異分野の研究を聞くことができました。また、対象学生(Granite / Granite-AI 学生)にとっては、ショートプレゼンテーションで異分野の聴衆を相手に自身の研究を端的に説明する機会となり、その後のポスターセッションでは自由にディスカッションをすることができました。

開会挨拶にて先端科学技術研究科長・出村先生からは「心に留めておいてほしいのは、国からサポートを受けて、その責任を感じながらしっかりと研究をしているものと思いますが、こういった発表の場も非常に重要になってきているということを考えてほしいと思います。」と、本ワークショップが実りあるものとなるよう、激励のメッセージが贈られました。

先端科学技術研究科長・出村 拓  先生より開会の挨拶
先端科学技術研究科長・出村 拓 先生より開会の挨拶

招待講演

業界をリードする2名の奈良先端大OBと博士のキャリアパスの専門家による講演が行われました。

渡邉 陽太郎  氏(株式会社PKSHA Technology AI Research & Solutionカンパニー・シニアアルゴリズムリード)

現在のキャリアに至るまでの経緯や経験からの学びの振り返りに加えて、学生に対しては、博士人材の活躍の機会は幅広くあり、コンフォートゾーンを離れて様々な経験を積むことで大きな成長を実感することができたこと、「やりたいと思っていたことをやりきれたか?」という問いを大切にしてほしいといったメッセージがありました。

株式会社PKSHA Technology・渡邉様
株式会社PKSHA Technology・渡邉様

山本 穂高  氏(中外製薬株式会社 トランスレーショナルリサーチ本部安全性バイオサイエンス研究所)

自身の関わる研究プロジェクトの紹介と、NAISTでの日々の過ごし方や意識したことをお話いただきました。最後は研究に取り組む学生へのメッセージとして、自分の研究には責任を持ちつつも研究は自由に発展させて良いこと、休むのも研究のうちなので規則正しい生活をするのも重要、自身の能力の限界など考えないで良いと思ったことはなんでも挑戦してみてほしいという想いを語っていただきました。

中外製薬株式会社・山本様
中外製薬株式会社・山本様

山田 諒  氏(株式会社アカリク・代表取締役)

アカリクの創業・サービス展開、自社の研究以外の領域でも活躍する博士人材の事例を紹介いただき、活躍の場は研究だけではないことを述べられました。また、社会の博士に対する評価や博士人材の能力面が特に評価されているポイントについて解説いただきました。

株式会社アカリク・山田様
株式会社アカリク・山田様

それぞれの講演後には、質疑応答の時間も設けられ、聴衆からの質問にご回答いただきました。

会場参加者からの質問
会場参加者からの質問

渡辺様への質問(抜粋)

Q:アカデミアの中でも共同研究はできると思うが、大企業に入った理由は?
A:大企業に入ったきっかけは共同研究。アカデミアでは社内のニーズがそのまま入ってくるわけではない。社会価値創出に距離を感じていたので大企業の選択をした。

Q:NLPの改善というお話を聞いたが、売り上げを上げるためにはパッケージを充実させるのか?商品開発が重要か?スキルの問題か?
A:ソリューションを展開する部署にいた。そもそも、NLPを使うことで解決ができる課題についての認識がない(営業側)だからこそ、まずはNLPを使う事の認知=素地を整える事から着手した。

山本様への質問(抜粋)

Q:先生のお手伝いにならないという点に共感をした。一方で先生とのディスカッションで意見が異なる場合は工夫はあるか?
A:根拠をもって話すことが重要。先生が真摯であることが前提だが、論文を読み込んで堂々と議論を交わせるように準備をしておくことは大事。

Q:就活が短期1か月とのことだが、何か対策をしたのか?
A:D1の時にインターン応募をした。その時にどこにフォーカスをしてPRをするべきかを学んでいた。実際の就活時もその時に学んだ主張したいポイントを流用してアピールできたのがよかった。

山田様への質問(抜粋)

Q:セールス・マーケの仕事について、分析能力などが生かせるイメージはあるが、他にどういった能力を活かしているのか?
A:マルチタスクが当てはまる。そのほかにも、外部とのやり取りや社内とのやり取りなど、研究で培ったコミュニケーション力を生かしている。今、マーケで活躍をしている大学院卒の方はフィールドワークで培った経験(コミュニケーション力)を活かしていると聞いている。

Q:博士が社会貢献をするためには、企業が博士を理解することに歩み寄るべきか、博士が社会を知りに行くべきか?そのあたりのバランスはどうか?
A:双方が歩み寄るべき。キャリア教育を通して、自身のキャリアを考える事も重要だと思うので、時間があればインターンシップに参加するなどで知る機会を持ってほしい。
一方で企業も多面的に見ていく必要はあると思う。給与テーブルしかり、博士人材に対して正しく評価し理解をする姿勢が大切だと考えています。

Granite / Granite-AI 学生によるショートプレゼンテーション

学生から自身の研究内容について、100秒間で紹介するプレゼンテーションを行いました。

学生によるショートプレゼンテーション
学生によるショートプレゼンテーション

Granite / Granite-AI 学生によるポスターセッション

ポスターセッションでは、参加学生・教員・企業担当者の全員がポスターを掲示した学生に対して質問・議論を行いました。

ポスターセッションの様子
ポスターセッションの様子

表彰式

本日のポスターセッションで発表した学生に対し、参加者投票により各領域(情報、バイオ、物質、AIの4カテゴリ)の優秀賞および最優秀賞を選定し、表彰を行いました。

優秀賞受賞者:
・Granite IS 優秀賞:太田 裕紀さん
・Granite BS 優秀賞:安藤 佳洋さん / 家田 愛菜さん
・Granite MS 優秀賞:山本 富也さん / RINI MURTAFIATINさん
・Granite-AI 優秀賞:ONTORIA AIAN BRIONESさん

最優秀賞受賞者:
・Granite IS 最優秀賞:仲田 深紅さん
・Granite BS 最優秀賞:佐藤 絢香さん
・Granite MS 最優秀賞:LIANG ZHIYUANさん
・Granite-AI 最優秀賞:林 純子さん

各領域の優秀賞受賞者
各領域の優秀賞受賞者

閉会挨拶

理事・副学長の加藤 博一先生より閉会の挨拶をいただきました。加藤先生からは、直近に行った学生と学長との対談時にも他の領域の学生が何をやっているのか知りたいという声が上がっており、こういった機会は刺激になるので重要だと感じていると述べられ、「Graniteプログラムも2年目となり、後輩を導けるように頑張ってください。」というメッセージで締めくくりました。

事業統括 / 理事・副学長の加藤 博一先生による閉会挨拶
事業統括 / 理事・副学長の加藤 博一先生による閉会挨拶

(以上)